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介護記録と申し送りの日本語:記録の書き方とシフト交代の伝え方(JLPT N3〜N2)

約6分で読めます

介護施設で働くインドネシア人向けに、介護記録の5原則、記録でよく使う動詞と文型、バイタル・食事・排泄・入浴の語彙、そして申し送りの5部構成と定型フレーズを、インドネシア語対訳つきでまとめました。

Ilustrasi garis datar seorang perawat kaigo berseragam biru muda sedang menulis di papan jepit sambil berdiri di samping lansia yang duduk di kursi roda, dikelilingi ikon pena, jam dinding, termometer, dan gelas minum

介護施設では、シフトが終わっても仕事は終わりません。見たこと、行ったことはすべて記録に残し、申し送りで次の勤務者へ伝える必要があります。外国人職員がいちばん負担に感じるのはこの二つで、理由は語彙の難しさではなく、会話とは別の書き方のルールがあるからです。

この記事で学べること:

  • ほとんどの施設に共通する介護記録の5原則
  • 記録でほぼ毎日使う動詞と文型
  • バイタル・食事・排泄・入浴・移動の語彙
  • 申し送りの5部構成と、そのまま使える定型フレーズ
  • 避けたい書き方(特に主観と診断の推測)

1. なぜ記録と申し送りが重視されるのか

介護記録は個人の日記ではありません。看護師、訪問医、ユニットリーダー、場合によってはご家族も読みます。自治体の監査が入ったときには、ケアが実際に行われた証拠になるのも記録です。ですから曖昧な文は、読みにくいだけでなく施設を困らせることにもつながります。

申し送りの役割はこれとは違い、その日の夜に何を気をつけるべきかを次の勤務者に確実に渡すことです。小さなこと、たとえばある利用者が昼食を半分しか食べなかったという事実も、伝えなければ夜勤者が知るすべはありません。

文体も会話の敬語とは異なります。記録は短く平たく書き、「〜した」「〜が見られた」で終わることが多く、です・ますは使いません。一方、申し送りは丁寧語で話します。敬語の全体像に不安があれば、先に敬語の基本を読んでおくとよいでしょう。介護分野の基礎語彙は介護の語彙にまとめてあります。

2. 介護記録の5原則

原則1 — 事実と推測を分ける。 見たこと、聞いたことを書き、自分の結論は書きません。「痛みを訴えられた」と「痛そうだった」を比べてください。前者は事実、後者はあなたの判断です。利用者の言葉を引くときは「〜と訴えられた」「〜と話された」を使います。

原則2 — 必ず時刻を入れる。 「10時30分」「昼食後」「夜間巡回時」。時刻がないと、他の出来事と結びつけられず、記録としての価値が大きく下がります。

原則3 — 誰の動作かをはっきりさせる。 利用者か職員か。主語のない「移乗した」は、利用者が自分で移ったのか、あなたが介助したのか分かりません。この二つはまったく別の意味です。

原則4 — 形容詞ではなく数値で書く。 「たくさん飲まれた」より「水分を200ml摂取」のほうが役に立ちます。食事量は10割を基準にする施設が多く、主食10割は完食、副食5割は半分残したという意味です。

原則5 — その場で書き、消さない。 勤務終了時に記憶で書くと、時刻と数値がずれます。書き間違えたときの一般的な扱いは、二重線で消して署名を入れることで、修正液で塗りつぶすことではありません。訂正のルールは施設ごとに違うので、勤務先の様式を確認してください。

3. 記録で使う動詞と文型

介護記録は、実はいつも同じ十数個の動詞の周りを回っています。この一覧を覚えれば、あとは組み立てるだけです。

  • 〜が見られた — 観察された。例:「ふらつきが見られた」
  • 〜を訴えられた — 利用者が訴えた。例:「腰の痛みを訴えられた」
  • 〜を介助した — 介助した。段階は全介助・一部介助・見守り・自立
  • 〜を促した — 声をかけて勧めた。例:「水分摂取を促した」
  • 〜を拒否された — 断られた。例:「入浴を拒否された」
  • 〜にて — 「で」の書き言葉。例:「居室にて」
  • 〜のため — 理由。例:「発熱のため入浴中止」
  • 〜を実施した — 実施した。例:「清拭を実施した」

文の例:

  • 「10時、居室にて右膝の痛みを訴えられる。看護師へ報告。」
  • 「昼食は主食8割、副食10割摂取。むせ込みは見られず。」
  • 「入浴は一部介助にて実施。浴室内でのふらつきなし。」
  • 「14時、水分摂取を促すも拒否された。15時に再度声かけ予定。」

文が短く、です・ますを使っていない点に注目してください。これは記録では普通のことで、乱暴な言い方ではありません。

4. 日々の記録の語彙

バイタル:

  • 体温(たいおん)
  • 血圧(けつあつ)
  • 脈拍(みゃくはく)
  • 呼吸(こきゅう)
  • 酸素飽和度(さんそほうわど)— SpO2 と書かれることが多い

食事・水分:

  • 主食(しゅしょく)
  • 副食(ふくしょく)
  • 摂取量(せっしゅりょう)
  • 完食(かんしょく)
  • むせ込み
  • 刻み食(きざみしょく)

排泄:

  • 排尿(はいにょう)
  • 排便(はいべん)
  • 失禁(しっきん)
  • おむつ交換(おむつこうかん)
  • 便秘(べんぴ)

入浴・清潔:

  • 入浴(にゅうよく)
  • 清拭(せいしき)
  • 足浴(そくよく)
  • 口腔ケア(こうくうケア)

移動・状態:

  • 移乗(いじょう)
  • 歩行(ほこう)
  • 転倒(てんとう)
  • ふらつき
  • 傾眠(けいみん)
  • 発熱(はつねつ)
  • 発赤(ほっせき)

看護師や医師に会話で症状を伝える言い方は、病院で症状を伝える日本語で扱っています。

5. 申し送りの5部構成

よい申し送りは、ほぼ必ず同じ順番をたどります。この5つを守れば、話の途中で迷子になりません。

  1. だれ — 利用者名と部屋番号。「305号室の田中様の件です」
  2. いつ — 発生時刻。「本日14時ごろ」
  3. なに — 起きた事実。「37度8分の発熱がありました」
  4. 対応 — すでに行ったこと。「看護師に報告し、水分をこまめにお勧めしました」
  5. お願い — 続けてほしいこと。「夜間も引き続き検温をお願いします」

安心して使える定型フレーズ:

  • 「申し送りをお願いします」
  • 「〜の件で申し送りがあります」
  • 「特に変わりありません」
  • 「引き続き様子観察をお願いします」
  • 「何かあればご連絡ください」
  • 「以上です。よろしくお願いします」

今すぐ報告すべきか、記録に書けば足りるかを迷ったときは、報連相の枠組みが判断を助けます。詳しくは報連相の使い方をご覧ください。早番・遅番・夜勤などのシフト用語はシフト表の読み方にまとめています。

6. 避けたい書き方

  • 診断を推測する。 「風邪をひいている」は職員が書く内容ではありません。観察した事実を書きます:「37度8分の発熱があり、咳が見られた」。医学的な判断は看護師と医師の役割です。
  • 評価や感情の言葉。 「わがまま」「困った」は記録に入れません。行動として書き換えます:「食事の時間を3回変更してほしいと希望された」。
  • 根拠のない曖昧な表現。 「いつもより元気がない」は、データを添えて初めて役に立ちます:「昼食摂取量が普段の半分。発語が少なかった」。
  • 自分だけの略語。 自分にしか分からない略語は、他の職員が読めません。施設で使われている略語だけを使ってください。
  • 勤務終了時に記憶で書く。 時刻と数値がいちばんずれやすい書き方です。まずメモに残し、あとで転記します。

7. 練習の仕方

  • 毎週、先輩が書いた記録を3件書き写し、同じ場面を自分ならどう書くか比べます。施設の文体をつかむいちばん早い方法です。
  • 繰り返し起きる場面(食事・入浴・排泄・拒否)の自分用テンプレートを作ります。あとは数値と時刻を入れ替えるだけになります。
  • 数値を声に出して読む練習をします。体温、血圧、水分量。申し送りでは、文法の粗さよりも数字でつまずくほうが伝わりません。
  • 最初の一週間で、施設独自の用語を質問しておきます。略語や書式は職場ごとに違います。

ご注意

記録の書式、訂正のルール、食事量の単位、申し送りの順番は施設ごとに異なります。この記事は日本の介護施設で一般的に使われている形を説明したもので、勤務先のマニュアルに代わるものではありません。また医療的な助言でもありません。利用者の健康状態の判断は看護師と医師の役割です。上司・看護師・社内マニュアルが別の指示を出している場合は、勤務先の指示に従ってください。

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