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日本で給料から天引きされるお金:合法な控除と違法な控除の見分け方

約10分で読めます

労働基準法第24条により、会社が賃金から控除できるのは2つの場合だけです。寮費・水道光熱費・罰金・強制貯蓄など問題になりやすい控除の見分け方、請求できる書類、そしてインドネシア語で相談できる無料窓口までを公的情報にもとづいて整理します。

給料の天引きルール - Aturan potongan gaji di Jepang yang sah dan yang melanggar hukum

日本で働くインドネシア人労働者から、「約束された金額より手取りがずっと少ない」という相談が多く寄せられます。その控除の一部は法律で決められた正当なものです。しかし、なかには労働基準法に違反している可能性があるものも含まれます。

この記事では、公的な一次情報にもとづいて、合法な控除と問題のある控除の見分け方、そして控除が不当だと感じたときの具体的な手順を説明します。以下の法令の説明は、厚生労働省と外国人技能実習機構(OTIT)の公式情報にもとづくもので、2026年8月19日時点で確認しています。

基本ルール:賃金は全額払いが原則

労働基準法第24条は、賃金の支払いについて次の5つの条件を同時に満たすことを求めています。

  1. 通貨で支払うこと(現物支給や商品券は不可)
  2. 直接労働者に支払うこと(仲介者を通さない)
  3. その全額を支払うこと(全額払いの原則)
  4. 毎月1回以上支払うこと
  5. 一定の期日を定めて支払うこと

このうち3番目が重要です。原則として、会社は賃金から何かを差し引くことはできません。

控除が認められる例外は2つだけ

厚生労働省の公式説明によると、賃金からの控除が認められるのは次の2つの場合に限られます。

1. 法令に別段の定めがある場合

国が定めている控除がこれにあたります。

  • 源泉所得税
  • 住民税
  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

2. 事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等との書面による協定がある場合(労使協定)

過半数労働組合、またはそれがない場合は労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を結ぶ必要があります。

ここで重要な点があります。厚生労働省は、この労使協定によって控除できるのは「労働者が当然に支払うべきことが明らかなもの」に限られると説明しており、その例として社宅や寮の費用を挙げています。

見落とされがちな限界

厚生労働省はもう一つ重要な点を明示しています。労使協定があったとしても、支払う意思のない労働者の賃金から一律に控除することは認められず、労働基準法違反になります。

つまり、労使協定があるという事実だけでは足りません。実際に控除する場合には、労働者個々の同意を得るか、就業規則に控除できる規定を設けておく必要があります。

合法な控除と、確認すべき控除

一般的に合法なもの

  • 所得税、住民税
  • 健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料
  • 実費相当額の寮費(労使協定があり、本人に説明されている場合)
  • 実費相当額の水道光熱費(同上)
  • 食事を実際に提供されている場合の食費で、金額が妥当なもの

確認が必要、または違反の可能性があるもの

  • 遅刻や物損、業務上のミスを理由とする罰金
  • 会社が預かる強制的な貯蓄への控除
  • 実費を大きく上回る寮費(例:一部屋に複数人が住んでいるのに、それぞれから一部屋分の家賃を徴収している)
  • 説明も同意もないまま金額が変わる控除
  • 給与明細に記載がない、または内訳が不明な控除
  • 採用費用、ビザ費用、仲介手数料を本人に負担させる控除
  • 契約期間の途中で辞めた場合の「違約金」としての控除

ただし、2つ目のリストは個々の状況によって判断が変わります。すぐに違法だと決めつけず、まずは書面での説明を求めることが大切です。

技能実習生・特定技能の方への追加ルール

技能実習生の場合、労働基準法に加えてさらに手厚い保護があります。

技能実習法は、技能実習生が負担する食費および居住費を技能実習計画に記載することを義務づけています。さらに省令は、認定申請時に次の書類を提出することを求めています。

  • 名目のいかんを問わず技能実習生が定期に負担する費用の内訳と、その費用が適正であることを説明する書類
  • 技能実習期間中の待遇について技能実習生に説明し、技能実習生がこれを十分に理解したことを明らかにする書類

2026年4月1日改正版の技能実習制度運用要領は、「食費等の過剰徴収」を重大悪質な契約違反行為の例として明記しています。是正を申し入れても是正されない場合、やむを得ない事情による転籍が認められる可能性があります。

同じ運用要領は、本人の予期せぬ形で負担額が増加した場合(勤務地や宿泊施設の変更などによるもの)も、雇用契約等の条件と実態に相違があると認められる場合があるとしています。

また、賃金不払いの態様が重大悪質な場合には、是正の申入れを待たずに転籍が認められるとされています。

技能実習法は次の行為も禁止しています。

  • 在留カードや旅券(パスポート)を会社が保管すること
  • 外出を不当に制限すること
  • 途中で辞めた場合の違約金や損害賠償額を予定する契約
  • 貯蓄を強制すること
  • スマートフォンや通帳などの私物を不当に管理すること

特定技能の方については、出入国在留管理庁が特定技能運用要領を公表しており、そのなかに「徴収費用の説明書」という公式様式が用意されています。つまり、徴収される費用は書面で説明されるべきものです。受入機関または登録支援機関にこの書類を求めてください。

確認方法:請求できる書類

結論を出す前に、まず次の資料を集めてください。

  1. 直近数か月分の給与明細(給与明細書) — 控除の項目名が明確かどうかを確認します
  2. 雇用条件書または雇用契約書 — 寮費などの取り決め額が記載されています
  3. 税金・社会保険以外の控除についての労使協定 — 存在するかどうかを尋ねる権利があります
  4. 寮費・水道光熱費の実費の根拠 — 電力会社などからの実際の請求書など
  5. 技能実習生の場合:計画認定申請時に提出が義務づけられている費用の説明書類

雇用条件書を一度も受け取っていない場合、または母国語で説明を受けていない場合は、その事実を記録しておいてください。OTITの運用要領は、その状態を転籍のやむを得ない事情の一つとして挙げています。

給与明細の各項目については、こちらの記事もご覧ください:日本の給与明細の読み方と控除の内訳

控除が不当だと感じたときの5つのステップ

ステップ1 — 証拠を保存する。 給与明細、雇用契約書、銀行口座の入金記録を写真に撮るか保存してください。記憶に頼らないことが大切です。

ステップ2 — 書面で説明を求める。 人事担当者に、各控除の法的根拠を尋ねてください。記録が残るよう、メッセージやメールで回答をもらいます。単なる計算ミスだったというケースも多く、この段階で解決することがあります。

ステップ3 — 支援機関に連絡する。 技能実習生は監理団体へ、特定技能の方は登録支援機関へ連絡してください。これらの機関には相談に対応する義務があります。

ステップ4 — インドネシア語で公的機関に相談する。 電話番号は次の章に記載しています。会社に知らせずに相談できます。

ステップ5 — 労働基準監督署に申告する。 労働基準法第24条違反を取り締まる権限を持つのは労働基準監督署です。ステップ1で集めた証拠を持参してください。

技能実習生で転籍を希望する場合は、監理団体に「実習先変更希望の申出書」(参考様式第1-44号)を提出します。

インドネシア語で相談できる窓口

以下はすべて日本政府の公式窓口で、インドネシア語に対応しています。2026年8月19日時点で確認した情報です。

労働条件相談ほっとライン(無料)

  • インドネシア語:0120-613-803
  • 受付時間:平日17:00〜22:00、土日祝9:00〜21:00
  • 無料で、全国どこからでも利用できます
  • インドネシア語の開設曜日は限られているため、事前に公式ページで確認してください

外国人労働者向け相談ダイヤル(有料)

  • インドネシア語:0570-001-715
  • 受付時間:10:00〜15:00(12:00〜13:00を除く)
  • 料金:固定電話から180秒ごとに9.35円、携帯電話から20秒ごとに11円

開設曜日についての注意:日本語版ページ(2026年8月時点)ではインドネシア語は火曜・木曜と記載されていますが、インドネシア語版ページ(2026年4月時点)では火曜のみと記載されています。記載に差があるため、電話の前に公式ページで確認することをおすすめします。

東京労働局 外国人特別相談・支援室

  • 電話:03-5361-8728
  • インドネシア語:火曜・木曜 9:30〜16:30

OTIT 母国語相談(技能実習生向け)

  • インドネシア語で電話・メール相談ができます
  • 公式ページ:https://www.support.otit.go.jp/soudan/id/
  • OTITはSOS・緊急相談専用窓口も設けています

小さな問題だと思っても、遠慮せずに電話してください。これらの窓口は、まさにこうした相談のために用意されています。

よくある質問

物を壊したことを理由に会社が罰金を科すことはできますか。

給与から直接差し引く罰金は、全額払いの原則との関係で問題があります。損害賠償は賃金の控除とは別の問題であり、自動的に賃金から差し引けるものではありません。労働基準監督署に相談してください。

控除に同意する書類にサインしてしまいました。今から異議を申し立てられますか。

できます。サインをしたからといって、法律に違反する控除が有効になるわけではありません。理解できる言語での説明がないまま日本語の書類にサインした場合はなおさらです。

相談したら帰国させられませんか。

公的機関に相談することはあなたの権利です。相談を理由とする不利益な取扱いは、会社にとって別の法的問題になり得ます。不安な場合は、まず電話相談で匿名のまま相談してください。

寮費の上限はいくらですか。

一律の上限額は公的な情報源では確認できませんでした。求められているのは、実費相当で妥当な額であること、そして本人に説明されていることです。したがって、目安の金額を探すより、計算の内訳を求めるほうが確実です。

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おわりに

原則はシンプルです。賃金は全額支払われなければならず、控除には明確な根拠があり、本人に説明できるものでなければなりません。会社が控除の理由を説明できないこと自体が、さらに詳しく尋ねるべきサインです。

まずは一番簡単なところから始めてください。給与明細を保存し、書面で説明を求めることです。

免責事項: 本記事は日本政府の公的情報にもとづく一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。制度や連絡先は変更される可能性があります。個別の事案については、労働基準監督署、OTIT、または法律の専門家にご相談ください。申告の結果を保証することはできません。

参考・公式情報

最終確認日:2026年8月19日

  • 厚生労働省「労働基準法第24条(賃金の支払)について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017g3r.html
  • 厚生労働省「外国人労働者向け相談機関」(インドネシア語):https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/foreigner_idn.html
  • 厚生労働省「外国人労働者向け相談機関」(日本語・2026年8月現在):https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/foreigner.html
  • 外国人技能実習機構「技能実習制度運用要領」(令和8年4月1日改正版):https://www.otit.go.jp/system/outline/
  • 外国人技能実習機構 インドネシア語ページ:https://www.otit.go.jp/trainee/btk/
  • 出入国在留管理庁「特定技能運用要領」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00201.html
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