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職場のパワハラ:3つの要素・6つの類型と、不利益を受けずに相談する方法(2026年)

約7分で読めます

2022年4月1日から中小企業を含むすべての事業主にパワハラ防止措置が義務づけられています。3つの要素と6つの類型、適正な指導との違い、証拠の残し方、労働局の無料の援助・調停、インドネシア語の相談ダイヤルをまとめます。

Ilustrasi seorang pekerja pabrik Indonesia berseragam biru yang tenang mencatat kejadian di buku catatan sambil memegang ponsel, berdiri di balik perisai pelindung, dengan ikon gedung kantor pemerintah, gagang telepon, dan map berisi bukti

同僚の前で毎日のように怒鳴られる、上司の家の掃除をさせられる、何週間も仕事をまったく与えられない。日本で働くインドネシア人の中には、こうした扱いを受けても、契約が更新されないことや在留資格への影響を心配して黙っている人が少なくありません。

日本ではこうした扱いをパワーハラスメント(パワハラ)と呼びます。2022年4月1日からは、中小企業を含むすべての事業主に、パワハラを防止し対応するための措置が義務づけられています。この記事では、何がパワハラにあたり何があたらないか、そしてどこに相談できるかを説明します。

この記事の内容は、2026年10月14日に厚生労働省および都道府県労働局の公式ページで確認したものです。

1. パワハラにあたるのはどんなときか

労働施策総合推進法と厚生労働省の指針では、職場のパワハラは次の3つの要素をすべて満たすものとされています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること。 典型的には上司から部下への言動です。ただし同僚や部下であっても、集団で行う場合や、業務上必要な知識・経験を持っていて抵抗しにくい場合などは含まれることがあります。
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること。
  3. 労働者の就業環境が害されるものであること。 強い苦痛を受けて、普段どおりに働けなくなるような状態です。

パワハラにあたらないもの: 客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導です。たとえば安全ルールを何度も守らない人に上司が強く注意するのは、それだけではパワハラになりません。仕事のミスで注意されたこと自体が問題なのではなく、やり方と程度が問題です。人格を否定する、何時間も怒鳴り続ける、大勢の前でさらし者にする、といった言動が問題になります。

2. よくあるパワハラの6つの類型

厚生労働省はパワハラの代表的な言動を6つの類型に分けています。これは例示であり、ここに当てはまらない言動もパワハラになりえます。

  1. 身体的な攻撃 — 殴る、蹴る、物を投げつける。
  2. 精神的な攻撃 — 人格を否定する発言、長時間にわたる厳しい叱責の繰り返し、脅迫や暴言を含むメッセージを送る。
  3. 人間関係からの切り離し — 業務上の理由なく同僚から隔離する、長期間別室に一人で置く、チーム全体で無視する。
  4. 過大な要求 — 達成不可能な業務を強制する、業務と関係のない私的な雑用をさせる。
  5. 過小な要求 — 業務上の合理性なく、能力とかけ離れた程度の低い仕事だけをさせる、罰として仕事をまったく与えない。
  6. 個の侵害 — 勤務時間外まで私生活を継続的に監視する、病歴など機微な個人情報を本人の了解なく他人に暴露する。

外国人労働者の場合、2・3・4の類型が特に多くみられます。たとえば出身国を見下すような言葉でののしられる、仕事の情報共有から外される、所定の時間を超えて説明もなく働かされる、といった例です。

3. 会社がしなければならないこと

労働施策総合推進法第30条の2により、事業主は防止のための措置をとらなければなりません。この義務は大企業には2020年6月1日から、中小企業には2022年4月1日から適用されています。主な内容は次のとおりです。

  • 方針の明確化と周知 — パワハラを許さない方針を明確にし、管理職を含むすべての労働者に知らせる。
  • 相談窓口の設置 — 相談窓口を設け、どこに相談すればよいかを労働者に知らせる。
  • 迅速かつ適切な対応 — 事実を確認し、被害者に配慮し、事実が確認できた場合は行為者に適正な措置をとる。
  • プライバシーの保護 — 相談者や関係者のプライバシーを守る。
  • 不利益取扱いの禁止 — パワハラについて相談したことや、会社の調査に協力して事実を述べたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはなりません。

2026年10月1日からは、顧客などからの著しい迷惑行為(カスハラ)についても同様の措置が義務になりました。くわしくはカスハラ対策の義務化についての記事をご覧ください。

4. あなたができること

a. 早い段階から記録と証拠を残す

外国人労働者が相談するとき、最も不足しがちなのが証拠です。相談するかどうか決めていなくても、今日から始めてください。

  • 日々の記録: 日付、時刻、場所、誰が、何を言ったか・したか(できるだけ実際の言葉どおりに)、誰が見ていたか。
  • 文字のやりとり: 暴言や脅しを含むLINE・メールなどのスクリーンショットを保存します。日付が見えるようにしてください。
  • 録音: 可能で安全な場合、録音は有力な証拠になります。
  • 健康面の記録: 体調を崩した、眠れない、病院に行ったという場合は、受診の記録や診断書を保管します。

コピーは、会社がアクセスできない場所(個人のスマートフォンや個人のクラウドなど)に保存してください。

b. 社内の相談窓口に相談する

人事担当者に聞くか、就業規則を見て、パワハラの相談窓口がどこにあるか確認してください。行為者が直属の上司の場合は、人事やさらに上の上司など、別の人に相談します。

特定技能の在留資格の方は、登録支援機関や受入れ企業の支援担当者にも相談できます。技能実習生の方は、監理団体のほか、**外国人技能実習機構(OTIT)**にも相談できます。OTITはインドネシア語を含む母国語での相談を行っています。電話番号と実施日は、OTITの公式サイトで最新の情報を確認してください。

c. 社内で解決しないとき:労働局

各都道府県に労働局があり、パワハラを担当するのは雇用環境・均等部(室)です。このほか、労働局や多くの労働基準監督署に総合労働相談コーナーがあります。

パワハラについて、労働局では次の2つの解決制度を利用できます。

  • 労働局長による紛争解決の援助 — 労働局が双方の話を聞き、話し合いによる解決をうながします。
  • 調停 — 弁護士や大学教授などの専門家による委員会が双方から話を聞き、調停案を作成して受諾を勧めます。

どちらも無料で、利用は任意、内容は公にされません。この制度を利用したことを理由に、会社があなたを解雇したり不利益に扱ったりすることは禁止されています。

d. インドネシア語で相談する

厚生労働省は外国人労働者向け相談ダイヤルを設けています。インドネシア語は次のとおりです。

  • 電話番号: 0570-001-715
  • 曜日: 火曜日・木曜日
  • 時間: 10時〜15時(12時〜13時を除く)

実施日は変わることがあるので、電話する前に厚生労働省の最新の案内を確認してください。0570で始まる番号には通常の通話料がかかります。

e. 体調を崩したとき

パワハラが原因で精神的な病気になり、働けなくなった場合は、労災として請求できる場合があります。勤務先を管轄する労働基準監督署に相談してください。労災請求の流れは労災保険の請求方法のガイド、メンタルヘルスの相談先は外国人労働者のメンタルヘルスの記事で扱っています。

殴ると脅された、実際に殴られたなど、身の危険を感じるときは、社内の手続きを待たずに110番で警察に連絡してください。

5. 在留資格について知っておきたいこと

  • パワハラを相談しても、在留資格が取り消されるわけではありません。 労働局や相談ダイヤルへの相談は、国籍にかかわらずすべての労働者に認められています。
  • 結果として退職や転職をする場合、一定の在留資格では14日以内に出入国在留管理庁への届出が必要です。14日以内の届出についての記事をご覧ください。
  • 特定技能の方は同じ分野の別の会社へ移ることができますが、正しい手続きを踏む必要があります。特定技能の転職Q&Aをご覧ください。
  • 迫られたからといって、その場で退職届に署名しないでください。退職を強要された場合は、そのこと自体も記録に残してください。

おわりに

パワハラは、受け入れなければならない「日本の職場文化」ではありません。日本の法律は会社に防止を義務づけ、相談した労働者を不利益に扱うことを禁止しています。どこに相談するかを決める前に、まず日付・言葉・目撃者の記録を始めることが、いちばん役に立つ第一歩です。

ご注意: この記事は一般的な説明を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。ある言動がパワハラにあたるかどうかは、状況全体をみて判断されます。制度の適用も在留資格の種類・契約の内容・会社の取扱いによって異なることがあります。ご自身のケースに関わる判断は、労働局、外国人労働者向けの相談窓口、または弁護士などの専門家にご相談ください。制度の内容や窓口の実施日は変わることがあります。この記事が参照した情報の確認日は2026年10月14日です。

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