JLPT N2 文字・語彙の攻略:6つの問題形式、選択肢のしかけ、漢字と語彙の効率的な覚え方(JLPT N3〜N2)
文字・語彙は JLPT でいちばん計算できる部分です。問題の形は決まっていて、まちがいの選択肢の作り方も毎回似ています。この記事では6つの形式、誤答の作られ方、そして暗記で終わらない漢字・語彙の勉強のしかたを整理します。

目次
JLPT N2 文字・語彙の攻略:6つの問題形式、選択肢のしかけ、効率的な勉強のしかた
聴解が耳を試し、読解が読み続ける力を試すのに対して、文字・語彙はもっと単純なことを試します。その語を知っているかどうかです。
単純なだけに軽く見られがちですが、文字・語彙は試験全体でいちばん計算できる部分です。問題の形は年ごとに変わらず、問題数は少なく、そして何より、まちがいの選択肢の作り方が毎回同じです。作問の側がどうやってしかけを作っているかが分かれば、速く答えられます。ここで浮いた時間は、本当に時間が足りなくなる読解で使えます。
この記事は N2 の文字・語彙を扱い、必要なところで N3 との違いを書き添えます。覚える語のリストではなく、問題のしくみの話です。
1. 試験の中での位置
N2 では文字・語彙は独立した時間ではありません。言語知識(文字・語彙・文法)・読解という一つの時間の最初に置かれています。つまり解答用紙も時間も、文法と読解と共用です。
ここから大事なことが出てきます。文字・語彙に使った時間は、読解から取った時間だということです。文字・語彙の問題数は三十問ほどで、語を知っていればほとんどが数秒で答えられます。知らなければ、五分考えても助けにならないことが多いです。
目安としては、文字・語彙を20分ほどで終えて先に進む。これは目安であって規則ではありません。問題数や構成は回によって変わることがあるので、この記事の数字は見当として扱い、ご自分の問題用紙で確かめてください。
2. 6つの問題形式
N2 では次の順で6つの形式が出ます。
- 漢字読み — 下線の漢字の読みを選ぶ
- 表記 — ひらがなで書かれた語の正しい漢字を選ぶ
- 語形成 — 接頭辞・接尾辞による語の組み立て
- 文脈規定 — 文に合う語を選ぶ
- 言い換え類義 — 意味がもっとも近いものを選ぶ
- 用法 — その語が正しく使われている文を選ぶ
N3 は形は似ていますが、ふつう語形成がなく、文脈規定の割合が大きくなります。N3 の準備中であれば、この記事の3の部分はいったん飛ばし、N2 に上がるときに戻ってください。
前の三つは語の形を試し、後の三つは語の使い方を試します。この分かれ方は大事です。勉強のしかたが別になるからで、9で扱います。
3. 漢字読み
短い文の中の漢字語に下線が引かれ、読みをひらがなの四択から選びます。
試されているのは語の意味ではなく、音の正確さです。ですから四つの選択肢は、ほとんどの場合ひとつのことだけを変えて作られています。
- 長音か短音か:こうこく/こうごく、しゅっぱつ/しゅつぱつ
- 促音があるかないか:けっか/けか
- 濁るか濁らないか:かいさつ/かいざつ
- 形の似た漢字の音読みの入れ替え
ですから考え方は「この語の意味は何か」ではなく「伸ばすのか伸ばさないのか、っが入るのか、がかかか」です。迷ったら選択肢どうしを見比べてください。違っている箇所が、その問題が何を試しているかを教えてくれます。
いちばん多い落とし穴は、意味は知っているが声に出して聞いたことがない語です。黙って読むだけの語は、長短が曖昧なまま覚えられます。だからこの部分には、小さな声でも音読するほうが、一覧をにらむよりずっと効きます。
4. 表記
1の逆です。語がひらがなで書かれ、正しい漢字を選びます。
まちがいの選択肢は、ほぼ次のどれかで作られます。
- 形のよく似た漢字(満と慢、複と復、績と積)
- 同音異義語(以外と意外、保証と保障)
- 二字の語で一字だけ入れ替える
確かめ方は、語全体ではなく漢字一字ずつの意味を見ることです。以外は以(〜をもって、から)と外(そと)で「それを除いて」。意外は意(考え、つもり)で「思っていたのと違う」。一字ずつ読めば、まちがいの選択肢は見かけを失います。
5. 語形成
いちばん点を上げやすい部分です。要素の数が限られていて、数えられるからです。
「_常識」「安全_」のように、ひとつの要素で語を完成させます。押さえるべきは、よく出る接頭辞・接尾辞です。
- 不〜 ——「〜でない」:不便、不安、不可能
- 無〜 ——「〜がない」:無料、無理、無関係
- 非〜 ——「〜ではない」:非常識、非公開
- 未〜 ——「まだ〜でない」:未成年、未経験
- 再〜 ——「もう一度」:再確認、再発行
- 〜性 ——「〜の性質」:安全性、可能性
- 〜的 ——「〜のような」:具体的、一般的
- 〜化 ——「〜になる」:自動化、高齢化
- 〜料 ——「料金」:手数料、使用料
- 〜費 ——「かかる費用」:交通費、生活費
前の四つがいちばん混ざります。実際的な目安としては、不は状態や性質に、無は「物そのものがない」に、非は「その類に入らない」に、未は「まだで、あとでそうなりうる」に付きます。ただしこれは絶対ではありません。どの語にどれが付くかは習慣で決まっているので、いちばん安全なのは語ごと覚えることです。不便、無料、非常識、未経験。
〜料と〜費の違いもよく出ます。料はひとつのサービスに対して定められた金額(手数料、入場料)、費は続いて出ていく費用(生活費、交通費)です。
6. 文脈規定
ここでは四つの選択肢の意味が近く、その文のほかの語と自然に組み合わさるものが一つだけになっています。
試されているのは語の結びつきです。約束は守る(持つではない)、注意は払う、責任は取る、迷惑はかける、影響は与える・受ける、という組み合わせです。
ですから読む順を逆にします。選択肢から始めないでください。空欄のまわりの語から始めて、「この語といつも一緒に出てくる語は何か」と問います。
勉強のときに効く習慣が一つあります。新しい語を書きとめるとき、助詞と動詞まで含めた形で書くことです。「責任」だけではこの問題について何も教えてくれません。「責任を取る」が教えてくれます。
7. 言い換え類義
一つの文が示され、意味がもっとも近い文を選びます。実際に試されているのは、硬い語とふつうの語の対応を知っているかどうかです。たいてい漢語がより日常的な言い方に置き換えられ、あるいはその逆になっています。
よく出る対は、中止するとやめる、完成すると出来上がる、徐々にと少しずつ、相当とかなり、ほぼとだいたい、突然と急に、といったものです。
しかけは意味ではなく程度にあります。「かなり」は「少し」ではなく、「ほとんど」は「全部」ではありません。まちがいの選択肢は、向きは合っていて度合いが外れていることが多いです。二つとも合いそうに見えたら、意味ではなく強さを比べてください。
もう一つ。元の文が肯定か否定かも見てください。「〜しかない」を「〜もある」にひっくり返す選択肢は古くからあるしかけで、速く読んでいると見落とします。
8. 用法
いちばん時間を食う形式です。語が一つ示され、四つの文のうちその語が正しく使われているものを選びます。
まちがいの三文は、だいたいこう作られます。
- 対象が合っていない(人にだけ使う語を物に付ける)
- かたさが合っていない(書き言葉の語をくだけた会話に入れる)
- 名詞と動詞が混ざっている(するが必要な語をするなしで使う、またはその逆)
- 規模が合っていない(小さな手直しの語を建て直しに使う)
実際的な助言としては、この形式では正しい文を探すより、明らかに違う文を切るほうが速いです。「この語は物には使わない」と気づくほうが、長い一文を正しいと確かめるより早く済みます。二つ残って時間が来たら、印をつけて一つ選び、進んでください。
9. 勉強のしかた:二種類の語彙、二つの方法
ここがこの記事の中心です。文字・語彙は二つに分かれていて、同じやり方では身につきません。
**語の形(1〜3)**に必要なのは正確さです。正しい音、正しい漢字、正しい組み立て要素。ここでは短い反復を何回もするほうが、長い一回より効きます。効くのは次のことです。
- 語彙は声に出して読む。小さな声でもよい。長短や促音は、黙読では残りません。
- 漢字は語の中で覚える。績だけは難しく、成績と実績はやさしい。
- 形の似た漢字は、形を覚えるのではなく、それぞれの見分けになる語を一つ覚える。
**語の使い方(4〜6)**に必要なのは慣れで、慣れは一覧からは来ません。効くのは次のことです。
- 語は助詞と動詞まで含めた一句で書きとめる。
- 例文は自分で作らず、実際の文から取る。ニュース、職場の掲示、役所からの通知など。
- 問題を解いたら、正解で止めない。ほかの三つがなぜ違うのかを問う。文字・語彙では、練習の価値はまちがいの選択肢のほうにあります。
10. 試験での20分の組み立て
ご自分で調整するための、おおまかな目安です。
- 漢字読みと表記:一問10秒ほど。知っているか知らないかで、中間はありません。知らなければ選んで進む。
- 語形成:接頭辞・接尾辞の一覧が入っていれば速い。入っていなければ、試験前にいちばん短い時間で直せる部分です。
- 文脈規定:選択肢を見る前に文を最後まで読む。先に選択肢を見ると、全部ありえるように感じます。
- 言い換え類義:意味だけでなく、程度と向き(肯定か否定か)を比べる。
- 用法:いちばん捨ててよい部分です。一問に一分を超えたら印をつけて読解へ進み、時間が残ったら戻る。
一つ承知しておきたいのは、知らない語を補える解き方はないということです。解き方ができるのは、すでに持っている語彙を取りこぼさないことと、ほかの部分に時間を残すことだけです。合格を保証する解き方はありませんし、この記事もそれを約束するものではありません。
11. 一日20分の練習
時間が限られているなら、こう分けてください。
- 5分:前に覚えた語彙20語を音読する。新しい語ではなく、前の語。強めるべきは「ほとんど思い出せる」語です。
- 5分:語形成か表記を10問。この二つがいちばん速く上がります。
- 7分:文脈規定か用法を5問、落ち着いて解く。
- 3分:答え合わせをして、まちがいの選択肢がなぜ違うのかを書く。
この最後の3分がいちばん飛ばされやすく、いちばん効きます。正解を知れば一問増えますが、ほかがなぜ違うかを知れば、その作り方で作られた問題のまとまりごと増えます。
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- カタカナ語と和製英語 — この部分にも出る外来語。
免責事項
この記事は日本語学習のための教材であり、JLPT の実施団体による公式な情報ではありません。問題数・出題構成・試験時間は回によって異なることがあり、変更されることもあります。この記事の数字は見当であって、決まりではありません。試験の結果を保証できる勉強法や解き方はありません。試験の形式・申し込み・日程についての正式な内容は、JLPT の実施団体の公式な案内で確認してください。




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