自動車整備の日本語:部品の名前・作業指示・不具合の伝え方(JLPT N4〜N3)
整備工場では指示が短く速く飛び、報告は正確でなければなりません。部品の名前、作業の動詞、不具合の言い方、車検の用語を、インドネシア語話者向けにN4〜N3の水準で整理しました。

目次
自動車整備の日本語:部品の名前・作業指示・不具合の伝え方(JLPT N4〜N3)
日本の整備工場には、独特の言葉の使い方があります。指示は速く、短く、多くは名詞ひとつと動詞ひとつです。「ブレーキ、見て」「オイル、抜いて」。一方で、作業票に書く報告は正確でなければなりません。その紙はお客様の車に付いていくからです。
この記事では、整備の現場で最もよく出る語彙と表現をまとめます。部品の名前、先輩からの作業指示、不具合の言い方、そして日本の整備工場の中心にある「車検」の用語です。対象はJLPT N4〜N3です。
教室の日本語と、工場の日本語が違う理由
新しく入った人が驚くことが三つあります。
一つ目は、部品名の多くが英語由来のカタカナであることです。ブレーキは分かりやすくても、ホイール、ワイパー、バッテリーは耳が慣れるまで時間がかかります。
二つ目は、同じ部品に二つの名前があることです。前輪とフロントタイヤは同じものを指します。先輩によって使う語が違います。
三つ目は、作業の動詞が短い命令の形(て形)で飛んでくることです。「外して」「締めて」「抜いて」。教科書の丁寧な形とは印象が変わります。
1. 部品の名前:外まわりと足まわり
- タイヤ — 車輪のゴムの部分
- ホイール — タイヤをはめる金属の輪
- ブレーキ — 制動装置
- ブレーキパッド — ブレーキの摩擦材
- サスペンション — 衝撃を吸収する装置
- マフラー — 排気の消音装置
- ボンネット — エンジンルームのふた
- ドアミラー — 側面の鏡
- ワイパー — 窓をふく装置
- ヘッドライト — 前方の灯火
- ウインカー — 方向指示器
- バンパー — 前後の緩衝部品
漢字では、前輪(ぜんりん)、後輪(こうりん)、車体(しゃたい)、下回り(したまわり)もよく使われます。
2. 部品の名前:エンジンまわりと油脂類
- エンジン — 原動機
- バッテリー — 蓄電池
- ラジエーター — 冷却装置
- エアクリーナー — 空気の清浄器
- スパークプラグ — 点火プラグ
- エンジンオイル — 潤滑油
- クーラント/冷却水(れいきゃくすい)
- ブレーキフルード/ブレーキ液(えき)
- 燃料(ねんりょう)
- 油圧(ゆあつ)
- 電圧(でんあつ)
- 交換(こうかん)
混同しやすい二語があります。交換は新しいものに取り替えること、補充(ほじゅう)は足りない分を足すことです。少し減っただけなら補充、汚れていれば交換になります。
3. 作業の動詞
- 外す(はずす)
- 取り付ける(とりつける)
- 締める(しめる)
- 緩める(ゆるめる)
- 抜く(ぬく)— オイルや空気を出す
- 入れる(いれる)
- 点検する(てんけんする)
- 調整する(ちょうせいする)
- 修理する(しゅうりする)
- 洗う(あらう)
- 拭く(ふく)
- 上げる(あげる)— リフトやジャッキで持ち上げる
先輩の指示はほとんどがて形です。
- タイヤを外して。
- ボルトをもう少し締めて。
- オイルを抜いてから、新しいのを入れて。
4. 工具の名前
- 工具(こうぐ)
- スパナ
- レンチ
- トルクレンチ — 締め付けの力を測る工具
- ドライバー
- ジャッキ
- リフト
- インパクトレンチ
- ウエス — 油をふく布
- 手袋(てぶくろ)
- 保護めがね(ほごめがね)
- 廃油(はいゆ)
注意したい語が一つあります。「ドライバー」は工具の意味と運転者の意味の両方を持ちます。分解中の車のそばで「ドライバー取って」と言われたら、工具のほうです。
5. 不具合の言い方
ここが最も大切な部分です。お客様は日常の言葉で症状を話します。それを整備の言葉に置き換えて書くのが整備士の仕事です。
- 音がする
- 異音(いおん)— 通常ではない音
- 振動する(しんどうする)
- 漏れる(もれる)
- 油漏れ(あぶらもれ)
- 効きが悪い(ききがわるい)
- かからない — エンジンが始動しない
- 止まる(とまる)
- 焦げくさい(こげくさい)
- 減っている(へっている)
- すり減る(すりへる)
- 割れている(われている)
音は擬音語で伝えることが多く、現場では毎日使われます。
- キーキー — 高くきしむ音。ブレーキに多い
- ガタガタ — 何かが緩んでいるような音
- カタカタ — 軽く当たるような音
- ゴロゴロ — 低く転がるような音。ベアリングに多い
- シュー — 空気が漏れるような音
報告の文の例です。
- ブレーキからキーキー音がします。
- 走行中に車体が振動します。
- 下回りからオイルが漏れています。
6. 車検と事務まわりの用語
車検は、日本で法律により定められた自動車の検査です。整備工場の仕事の多くはこれを中心に回っているため、自分でまだ担当していなくても言葉は知っておく必要があります。
- 車検(しゃけん)
- 車検証(しゃけんしょう)
- 点検整備記録簿(てんけんせいびきろくぼ)
- 法定点検(ほうていてんけん)
- 定期点検(ていきてんけん)
- 見積もり(みつもり)
- 部品代(ぶひんだい)
- 工賃(こうちん)
- 納車(のうしゃ)— お客様に車をお渡しすること
- 代車(だいしゃ)— 修理中に貸す車
- 入庫(にゅうこ)— 車が工場に入ること
- 保証(ほしょう)
受付でよく聞く言い方です。
- 見積もりを出してから作業します。
- 部品の取り寄せに三日かかります。
7. よく使うN4〜N3の表現
- 〜ておく … 準備としてしておく。「タイヤの空気圧を見ておいてください。」
- 〜てある … すでにその状態にしてある。「ボルトは締めてあります。」
- 〜たまま … その状態のままにする。「エンジンをかけたまま作業しないでください。」
- 〜ようです/〜みたいです … 推測をやわらかく伝える。「ベアリングが原因のようです。」
- 〜かもしれません … 可能性を示す。「パッドの交換が必要かもしれません。」
- 〜そうです(様態)… 見た様子から判断する。「このホースは切れそうです。」
後の二つは特に大切です。整備士は分解する前に断定しません。「〜ようです」「〜かもしれません」を使うことで、確定ではなく見立てを伝えていることが分かり、仕事の姿勢としても良い印象になります。
8. 安全と日常のやりとり
- お願いします。
- 確認します。
- まだ終わっていません。
- もう一度教えてください。
- 危ないです。
- 手を貸してください。
- 工具を戻します。
- すみません、分かりません。
最後の一文は、恥ずかしさから避けられがちです。しかし整備の現場では、間違った付け方をしてしまうより、早く言うほうがずっと良い結果になります。
9. 小さな練習
- 「ボルトを緩めて」と言われたら、何をするか。
- 交換と補充の違いは。
- ブレーキがきしむ音を書くとき、どの擬音語を使うか。
- 代車とは何か。
- 「オイルが漏れているようだ」を、断定を避けて言うと。
答え:
- ボルトをゆるめます。締めるのではありません。
- 交換は新しいものに取り替えること。補充は足りない分を足すこと。
- キーキー。
- 修理の間、お客様にお貸しする車。
- オイルが漏れているようです。
10. 現場での学び方
整備の語彙は範囲が限られていて、毎日くり返し出てきます。作業着のポケットに小さな手帳を入れ、一日五語だけ書くのが早道です。部品を一つ、工具を一つ、動詞を一つ、不具合の語を一つ、事務の語を一つ。休憩時間に意味を確かめます。二か月あれば、工場での会話の大部分が見慣れたものになります。
もう一つ役に立つ方法があります。白紙の点検整備記録簿を一枚もらえないか聞いてみることです。車のそばで立ったまま読むより、家で落ち着いて読むほうがはるかに頭に入ります。
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免責事項
この記事で紹介した用語・書式・作業の流れは、日本の自動車整備工場で広く使われている一般的な例です。会社ごと、車種ごとに独自の呼び方、略語、安全手順があります。安全や資格に関わる作業では、必ず職場の責任者の指示に従ってください。





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