メインコンテンツへスキップ

2026年10月 社会保険の加入条件が変わる:月8.8万円の賃金要件が撤廃予定、基準は週20時間へ

約6分で読めます

2026年10月から、社会保険に加入するための「月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃される予定です。判断基準は週20時間の所定労働時間へ。家族滞在の配偶者、パート勤務者、留学生への影響と、手取りの変化を整理します。

Ilustrasi garis datar: seorang pekerja perempuan berapron dan seorang pekerja laki-laki bertopi kerja berdiri mengapit sebuah slip gaji besar dengan satu baris potongan disorot hijau; di atasnya ada ikon jam dinding, kartu asuransi kesehatan, kalender, dan tumpukan koin.

2026年10月から、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するための「月額賃金8.8万円以上」という賃金要件が撤廃される予定です。撤廃後は、対象となる会社で週20時間以上働く人は、賃金の額にかかわらず社会保険に加入することになります。

影響が大きいのは、パートで働く「家族滞在」の配偶者と、これまで「106万円の壁」を意識して勤務時間を抑えてきた人です。

情報の確認日:2026年8月24日。 以下は厚生労働省および日本年金機構の公式サイトで確認した内容です。厚生労働省のサイトでは「撤廃予定」と記載されており、実施時期は変更される可能性があります。勤務時間を変える前に、必ず最新情報を確認してください。

2026年10月に何が変わるのか

現在、パート・アルバイトが勤務先の社会保険に加入するには、次の条件をすべて満たす必要があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 学生でないこと(例外あり。後述します)
  • 勤務先の厚生年金保険の被保険者数が51人以上

2026年10月から、このうち**賃金要件(月額8.8万円)**が撤廃されます。ほかの条件はそのまま残ります。

なぜ賃金要件がなくなるのか

厚生労働省が挙げている理由はシンプルです。最低賃金が上がったからです。

令和7年度の地域別最低賃金が全都道府県で時給1,016円を超えたため、週20時間働けば自動的に月額8.8万円を超えます。つまり、賃金要件が条件として機能しなくなった、ということです。

計算するとこうなります。1,016円 × 20時間 × 52週 ÷ 12か月 ≒ 88,053円

影響を受けるのは誰か

1. 「家族滞在」の配偶者 「家族滞在」の資格外活動許可(包括許可)は、1週について28時間以内と定められています。つまり、実際によく使われる週20〜28時間という範囲が、そのまま社会保険の加入対象になります。

2.「106万円の壁」を意識して働き方を調整してきた人 月額8.8万円未満に賃金を抑えるという方法では、加入を避けられなくなります。これからの判断基準は賃金額ではなく労働時間です。

3. 時給は高いが勤務時間が短い人 契約上の所定労働時間が週20時間未満であれば、時給が高くても加入対象にはなりません。残業時間は原則として含まれず、判断に使われるのは契約に書かれた所定労働時間です。

4.「留学」の学生 — 原則として影響なし 学生は原則として対象外です。ただし例外があり、卒業見込証明書を持つ人、休学中の人、定時制・通信制の人などは対象になる場合があります。詳しくは留学ビザのアルバイトに関するFAQをご覧ください。

給与から引かれる額

社会保険料は会社と本人で半分ずつ負担します(労使折半)。

  • 厚生年金保険料:保険料率は18.300%、労使折半のため本人負担は9.150%
  • 健康保険料:保険者や都道府県によって率が異なり、こちらも労使折半
  • 介護保険料:40歳以上の人に加算されます

給与明細の控除欄の読み方に不安がある方は、日本の給与明細と控除の読み方から確認してください。

加入によって得られるもの

手取りは減りますが、国民健康保険+国民年金(または被扶養者)から会社員の制度に移ることで、次のような違いが生まれます。

  • 保険料の半分を会社が負担する
  • 厚生年金の加入期間が加わるため、将来受け取る年金額が増える
  • 病気やけがで働けないときの傷病手当金がある
  • 出産のときの出産手当金がある
  • 障害が残ったときに、国民年金だけでなく厚生年金からの保障もある

年金制度そのものの説明は日本の年金(nenkin)の手続きにまとめています。

「130万円の壁」は変わらない

ここは混同されやすい点です。日本年金機構は、健康保険の被扶養者として認定されるための「年収130万円未満」という収入要件に変更はないと明記しています。

ただし順番に注意してください。加入要件を満たした場合は、年収が130万円未満であっても被扶養者ではなく自分自身が被保険者になります。先に確認されるのは労働時間と会社の要件であって、130万円という数字ではありません。

企業規模要件も段階的に広がる

「51人以上」という企業規模の要件は、次のスケジュールで段階的に引き下げられる予定です。

  • 2027年10月:36人以上
  • 2029年10月:21人以上
  • 2032年10月:11人以上

今の勤務先が規模の面で対象外だとしても、数年のうちに対象になる可能性があります。加入手続きの詳細は従業員の社会保険加入についてをご覧ください。

帰国を予定している場合

帰国しても、積み上げた厚生年金の期間がすぐ無駄になるわけではありません。脱退一時金という制度があります。主な要件は次のとおりです。

  • 日本国籍を有しないこと
  • 日本国内に住所を有しないこと
  • 厚生年金保険の加入期間が6か月以上あること
  • 老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと
  • 日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求すること

2021年4月以降に資格を喪失した人については、計算に用いる月数の上限が60か月です。それ以前の資格喪失者は36か月が上限のままです。

注意点として、脱退一時金を受け取ると、その期間は年金の計算上なかったものとして扱われます。再び日本で働く予定がある場合は、よく検討してください。

今しておくこと

  1. 雇用契約書を確認する。 週の所定労働時間は何時間と書かれていますか。判断に使われるのは実際の勤務時間ではなく、この数字です。
  2. 勤務先の人事に確認する。 会社が現在の対象(厚生年金の被保険者数51人以上)に該当するかどうか。
  3. 「家族滞在」の方は、資格外活動許可の週28時間の上限と、配偶者の被扶養者のままかどうかを確認してください。家族滞在ビザのFAQも参考になります。
  4. 手取りを計算し直す。 厚生年金の本人負担9.15%に、健康保険料の本人負担分を加えた額が新たに引かれる前提で計算してください。
  5. 2026年10月が近づいたら再確認する。 現時点ではまだ「予定」です。正式な案内は厚生労働省のサイトに掲載されます。

一次情報

  • 厚生労働省「社会保険の適用拡大について」
  • 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
  • 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト — 加入の要件」
  • 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
  • 日本年金機構「脱退一時金の制度」
  • 出入国在留管理庁「『家族滞在』の在留資格に係る資格外活動許可について」

本記事は2026年8月24日時点の日本の公的機関の公開情報にもとづく一般的な説明であり、個別のケースに対する法律・税務・労務上の助言ではありません。制度の内容や実施時期は変更される場合があります。雇用契約・在留資格・社会保険の加入に関わる判断については、勤務先の人事担当、最寄りの年金事務所、または社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

共有WhatsAppLINEFacebook