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日本のアパートを退去するとき:敷金は返ってくるのか、原状回復でどこまで払うのか(2026年版)

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通常の使用による損耗と建物の経年変化は借主の負担ではありません。これは民法第621条の条文そのものに書かれています。敷金の法的性質、貸主負担と借主負担の線引き、経過年数の考え方、ハウスクリーニング特約の有効性、納得できないときの相談先までを公的情報にもとづいて整理します。

Ilustrasi seorang penyewa Indonesia dan petugas pengelola apartemen berdiri di kamar yang sudah kosong saat serah terima kunci, memegang kunci apartemen dan lembar rincian biaya keluar, dengan ikon ponsel yang memfoto goresan dinding sebagai bukti dan kantong uang yang mewakili pengembalian shikikin.

日本のアパートを退去するとき:敷金は返ってくるのか、原状回復でどこまで払うのか(2026年版)

在日インドネシア人の多くが「原状回復」という言葉を知るのは、手遅れになってからです。鍵を返したあとで請求書が届き、部屋全体のクロス張替え代、ハウスクリーニング代、鍵交換代が並んでいて、入居時に払った敷金は一円も戻らず、さらに足りない分を請求される。

しかし日本の法律は、部屋を新築同様に戻すことを借主に求めていません。この記事では、民法と国土交通省の公式ガイドラインにもとづいて、何が借主の負担で、何が貸主の負担なのかを整理します。

以下の情報は2026年10月6日時点で確認したものです。

まず押さえておきたい3点

  • 通常の使用による損耗と建物の経年変化は、借主の負担ではありません。 これは解釈ではなく、条文そのものに書かれています。
  • 敷金は、借主の債務を差し引いた残額を返す義務があります。 家賃の滞納がなく、借主負担の損傷もなければ、お金は戻るべきものです。
  • 入居したときの部屋の状態を示す証拠が、最も強い武器です。 初日に撮った写真は、最終日の口論よりはるかに価値があります。

敷金とは法律上どういうお金か

2020年4月1日に施行された改正民法によって、敷金の定義が民法第622条の2に明文化されました。

要点は次のとおりです。

  • 敷金とは、賃貸借にもとづいて生じる借主の金銭支払債務を担保する目的で、借主が貸主に交付する金銭のことです。
  • 名目は問いません。 「敷金」でも「保証金」でも、債務を担保する目的で渡したお金であれば、この条文が適用されます。
  • 貸主は、賃貸借が終了し、かつ物件の返還を受けたときに、借主の債務額を控除した残額を返還しなければなりません。
  • 逆に、借主の側から「敷金を滞納家賃に充ててほしい」と請求することはできません。それは貸主側の権利です。

ここから実務的なことが二つ分かります。第一に、返還を請求できるのは部屋を明け渡したあとなので、鍵を返す前に敷金が戻ることを期待してはいけません。第二に、家賃の滞納、貸主が立て替えた光熱費、遅延損害金などがあれば、その金額は正当に差し引かれます。

「原状回復」は部屋を新築同様に戻すことではない

ここが最大の誤解が生まれる場所です。「もとの状態に戻す」という言葉の響きから、請求されたものを何でも払ってしまう人が多くいます。

民法第621条が原状回復義務を定めていますが、その条文の中に括弧書きで除外が書かれています。借主は部屋を受け取った後に生じた損傷を原状に復する義務を負いますが、そこから除かれるのは次の二つです。

  • 通常の使用及び収益によって生じた損耗
  • 建物の経年変化

さらに同じ条文のただし書きは、損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであれば、原状回復を要しないと定めています。建物の構造上の欠陥による雨漏りなどがこれにあたります。

国土交通省の**「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版・2011年8月)」**は、原状回復をこう定義しています。借主の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること。つまり、入居時の状態に戻すことではありません。

このガイドラインは指針であって法律ではありません。ただしその内容は交渉の場や裁判で判断の参考として使われており、根拠となる民法第621条そのものは法律です。

貸主の負担になるもの(敷金から引いてはいけないもの)

以下は国土交通省ガイドラインの事例区分表に挙げられている例です。

  • テレビや冷蔵庫の後ろの壁の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)。通常の電気使用から生じるものです。
  • 壁の画鋲やピンの穴。下地ボードの張替えが不要な程度のものに限ります。
  • 日照などの自然現象によるクロスの変色。
  • 壁に貼っていたポスターや絵画の跡。
  • 畳の変色、フローリングの色落ち。日照や、建物の構造欠陥による雨漏りで生じたもの。
  • 家具の設置による床やカーペットのへこみ、設置跡。
  • 専門業者による全体のハウスクリーニング。借主が通常の清掃を実施している場合に限ります。
  • 鍵の取替え。破損も紛失もない場合に限ります。

借主の負担になるもの

  • 室内での喫煙によるタバコのヤニと臭い。 高額請求の代表例です。
  • 重量物をかけるためにあけたくぎ穴・ネジ穴で、下地ボードの張替えが必要な程度のもの。
  • 日常の清掃を怠ったための台所の油汚れ。
  • 落書きなど故意による毀損。
  • 引越作業などで生じた床の引っかきキズ。
  • 窓を開けたままにして雨が吹き込んだことによるフローリングの色落ち。
  • 鍵の紛失または破損による取替え。

よく似ているのに結論が逆になる組み合わせに注意してください。画鋲の穴は貸主負担、重量物用のネジ穴は借主負担。日照によるフローリングの色落ちは貸主負担、雨の吹き込みを放置した色落ちは借主負担。料理による台所の汚れは通常の範囲ですが、掃除を全くしなかった油汚れは借主負担です。

経過年数の考え方:クロス代を全額払う必要がない理由

借主が最も見落としやすく、しかし請求額を最も大きく減らせるのがこの部分です。

国土交通省ガイドラインは減価償却の考え方を採用しています。材料の価値は時間とともに直線的に下がっていき、耐用年数を経過した時点で残存価値が1円になるものとして計算します。

  • クロス(壁紙)とカーペットの耐用年数は6年。
  • 設備機器は種類によっておおむね5年から15年。

つまり、6年住んだあとにクロスを傷つけた場合、たとえ自分の過失であっても、負担すべき残存価値はほぼゼロに近づきます。それでも請求されうるのは**張替えの施工費(手間代)**の部分で、新品の材料費そのものではありません。

ガイドラインが挙げている例外もあります。襖紙、障子紙、畳表は消耗品としての性格が強く、減価償却の考え方を取り入れることにはなじまないとされています。フローリングの部分補修については、部分補修の費用全額を借主が負担してもやむをえないと記載されています。

契約書の「特約」:ハウスクリーニング条項はどう扱われるか

多くの契約書には特約が入っています。「ハウスクリーニング費用は全額借主負担」「退去時に室内全体のクロスを張替え、費用は借主負担」といった条項です。こうした特約は有効なのでしょうか。

答えは、自動的に有効になるわけではない、です。国土交通省ガイドラインは次の3要件を示しています。

  1. 特約の必要性があり、かつ暴利的でないなどの客観的・合理的理由が存在すること。
  2. 借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識していること。
  3. 借主が特約による義務負担の意思表示をしていること。

同じガイドラインはさらに、通常損耗の補修を借主に負わせる特約については、契約書に具体的に明記されているか、または貸主が口頭で説明し借主が明確に認識していることが必要だとしています。

ガイドライン以外の根拠として、消費者契約法第10条があります。法令の規定の適用による場合に比べて消費者の義務を加重する契約条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効と定められています。

国民生活センターも、ガイドラインと異なる内容の特約が定められている場合があるため契約前の確認が必要だと注意喚起しています。原状回復トラブルに関する2026年2月17日の公表資料では、年月の経過による損耗や、普通の使い方をしていても発生する汚れやキズの修繕費用については、借主が費用を負担する必要はないと考えられるとしています。

したがって、契約書に特約があるからといって議論が終わるわけではありません。一方で、特約が必ず無効になるわけでもありません。判断を分けるのは、その特約がどれだけ具体的に書かれているか、金額が合理的かどうかです。

退去をいつ伝えればよいか

ここは二つのことが混ざりやすいので、分けて説明します。

法律が定めていること。 民法第617条は期間の定めのない賃貸借についての規定で、建物の賃貸借は解約申入れの日から3箇月を経過することで終了します。2年契約のような期間の定めのある通常の賃貸借契約には、この条文は適用されません。

契約が定めていること。 「1か月前に伝える」という実務は、法律の義務ではなく契約条項から来ています。国土交通省が公表している賃貸住宅標準契約書では、第11条が、借主は貸主に対して少なくとも30日前に解約の申入れを行うことで契約を解約できると定めています。同条には、30日分の賃料を支払えばそれより早く解約できる旨の規定もあります。

この標準契約書はあくまで雛形であり、法的な強制力はありません。つまりあなたに適用される日数は、あなた自身の契約書に書かれた日数です。 1か月のものも2か月のものもあります。この記事ではなく、契約書を確認してください。

なお、ルールが対称ではない点を知っておくと役に立ちます。貸主の側から建物賃貸借を解約する場合、借地借家法第27条により、解約申入れの日から6月を経過することで終了します。同法第30条は、この節の規定に反する特約で借主に不利なものは無効と定めています。

入居初日からできる備え

原状回復の争いで勝つのは、正しい人ではなく証拠を持っている人です。

  • 鍵を受け取った日に、家具を入れる前の部屋を全部撮影する。 壁、床、隅、台所、浴室、窓枠。写真ファイルに撮影日が自動で残るようにしておきます。
  • すでにある傷や汚れは接写で撮る。 引っかき傷、しみ、めくれたクロス、漏れる蛇口。
  • 管理会社から室内状況の確認シートをもらったら、正直に記入し、自分用の控えを1部残す。
  • 不具合は起きたときにすぐ報告する。 退去の日までためておかないこと。放置した漏水は、手入れ不足として貸主負担から借主負担に変わることがあります。
  • 契約書と付属の書類をすべて保管する。 修繕分担表があればそれも含みます。
  • 住んでいる間、普通に掃除をしておく。 通常の清掃を実施していることが、全体のハウスクリーニング費用を貸主負担とする条件になっています。

退去日の立会いで気をつけること

  • できるだけ自分で立ち会う。 無理なら日本語が分かる人に同行してもらいます。
  • 書面で明細を求める。 何を直すのか、なぜそれが自分の負担なのか、単価はいくらか。
  • 金額が空欄の書類や、内容が分からない書類に署名しない。 その場の署名は、請求全体への同意と受け取られることがよくあります。
  • 納得できなければ、確認してから返事をしたいと伝える。 その場で決める義務はありません。
  • 空室の状態を写真に撮る。 鍵を渡す直前に撮っておきます。
  • 敷金をいつ、どの口座に返すのかを聞き、答えを記録する。

請求が来て納得できないとき

書類が公式に見えるからといってすぐ払う必要はありません。ただし、放置してもいけません。

  • 項目ごとの明細を求める。 「原状回復費」の一行だけでは明細ではありません。
  • 上の二つのリストと照らし合わせる。 日照によるクロスの変色や冷蔵庫裏の黒ずみが請求されているなら、反論の根拠があります。
  • 居住年数を確認する。 クロスなら耐用年数6年が、妥当な負担割合に大きく影響します。
  • 消費者ホットライン188に電話する。 郵便番号を入力すると、最寄りの消費生活相談窓口につながります。受付時間は接続先の自治体窓口ごとに異なり、一部のIP電話からはつながりません。自治体窓口が混雑している場合、国民生活センターの平日バックアップ相談03-3446-0999(平日10:00〜16:00)も利用できます。
  • 法テラスの多言語情報提供サービスはインドネシア語に対応しています。 0570-078377(IP電話等からは050-3754-5430)、月曜から金曜の9:00〜17:00。制度や適切な窓口についての情報提供を行うサービスです。日本語での一般窓口は0570-078374です。
  • 管理会社との間の問題については、国土交通省が都道府県ごとの宅地建物取引業の窓口一覧を公表しています。

すでに引っ越していて連絡がつきにくい場合は、貸主と管理会社に新しい住所を必ず伝えてください。読まれなかった請求書も、届いたものとして扱われます。

よくある誤解

「敷金はもともと修繕費だから、返ってこないのが普通」。 違います。敷金は担保であって、リフォーム代の前払いではありません。差し引けるのは実際に生じた借主の債務だけです。

「契約書に署名したのだから、すべての条項が有効」。 必ずしもそうではありません。特約はガイドラインの3要件を満たさない場合や消費者契約法第10条に反する場合、無効と判断されることがあります。

「外国人だから、ここでは権利がない」。 民法第621条も第622条の2も、借主の国籍で区別していません。

「自分のせいでクロスが傷んだから、部屋全体の張替え代を払う」。 そうとは限りません。計算は通常、傷んだ範囲に限られ、さらに材料の経過年数が差し引かれます。

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おわりに

この記事は2026年10月6日に確認した公的情報にもとづいています。民法第617条・第621条・第622条の2、借地借家法第27条・第30条、消費者契約法第10条、国土交通省の原状回復ガイドラインと賃貸住宅標準契約書、国民生活センターの公表資料です。

内容は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個々の結論は契約書の内容、部屋の状態、手元の証拠によって変わるため、敷金が特定の金額戻ると保証することはできません。また、上記の確認日以降に数値や取扱いが変わる可能性があります。ご自身のケースについては、お住まいの自治体の消費生活相談窓口、法テラス、または弁護士にご相談ください。

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