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脱退一時金2026:帰国前後によくある12の疑問(インドネシア人向けガイド)

約7分で読めます

請求条件、2年の期限、2026年度の金額、20.42%の源泉徴収と還付の流れまで。帰国するインドネシア人向けに脱退一時金の疑問を12問で整理しました。

Ilustrasi datar dua pekerja Indonesia berdiri di samping lembar formulir, dengan paspor, tumpukan koin, koper, dan pesawat kertas di sekitarnya

脱退一時金2026:帰国前後によくある12の疑問(インドネシア人向けガイド)

日本で働いたインドネシア人が帰国するとき、毎月の給与から引かれてきた年金保険料の一部を受け取れる制度が**脱退一時金(だったいいちじきん)**です。しかし、2年の請求期限を過ぎて権利を失ってしまう方や、20.42%の源泉徴収があることを知らずに「思ったより少ない」と驚く方も少なくありません。

この記事では、よくある12の疑問を、日本年金機構と国税庁の公式ページの記載にもとづいて整理します。情報の確認日は2026年8月29日です。

1. 脱退一時金とは何ですか

脱退一時金は、日本の公的年金に短期間加入した外国人が日本を離れるときに請求できる一時金です。「支払った保険料の全額が戻る制度」ではなく、公式の計算式で算出され、対象となる加入期間には上限(最大60月)があります。

加入していた制度によって2種類あります。

  • 国民年金:学生や自営業など、自分で保険料を納めていた方。金額は定額の表で決まります。
  • 厚生年金保険:会社員として給与から保険料が引かれていた方。平均標準報酬額をもとに計算します。

給与明細の控除項目がよく分からない方は、まず日本の給与明細と控除の読み方をご覧ください。

2. 誰が請求できますか

日本年金機構によれば、次の条件をすべて満たす必要があります。

  • 日本国籍を有していないこと
  • 現在、日本の公的年金制度の被保険者でないこと
  • 保険料の納付期間が6か月以上あること
  • 老齢年金の受給に必要な10年の資格期間を満たしていないこと
  • 障害年金や遺族年金の受給権を有したことがないこと
  • 日本国内に住所を有していないこと
  • 日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内に請求すること

つまり、日本に住み続けている間は請求できません。

3. 請求期限はいつまでで、いつから数えますか

期限は2年です。誤解が多いのは起算日です。

  • 原則:最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以内
  • 資格喪失時に日本国内に住所があった場合:その後、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内

そのため、帰国前に市区町村へ提出する転出届は単なる形式ではありません。住所を有しなくなった日を明確に記録として残す手続きになります。

4. 国民年金の脱退一時金はいくらですか

最後に保険料を納付した月が令和8年度(2026年度)の場合、日本年金機構は次の金額を示しています。

  • 6か月以上12か月未満:53,760円
  • 12か月以上18か月未満:107,520円
  • 18か月以上24か月未満:161,280円
  • 24か月以上30か月未満:215,040円
  • 30か月以上36か月未満:268,800円
  • 36か月以上42か月未満:322,560円
  • 42か月以上48か月未満:376,320円
  • 48か月以上54か月未満:430,080円
  • 54か月以上60か月未満:483,840円
  • 60か月以上:537,600円

金額は最終納付月の年度によって変わるため、必ず該当年度の表を公式サイトで確認してください。

5. 厚生年金保険の脱退一時金はどう計算しますか

公式の計算式は次のとおりです。

平均標準報酬額 × 支給率

平均標準報酬額は、加入期間中の給与と賞与の合計を加入月数で割って求めます(2003年4月より前の期間は1.3倍して計算します)。

2021年4月以降に資格を喪失した場合の支給率は次のとおりです。

  • 6か月以上12か月未満:0.5
  • 12か月以上18か月未満:1.1
  • 18か月以上24か月未満:1.6
  • 24か月以上30か月未満:2.2
  • 30か月以上36か月未満:2.7
  • 36か月以上42か月未満:3.3
  • 42か月以上48か月未満:3.8
  • 48か月以上54か月未満:4.4
  • 54か月以上60か月未満:4.9
  • 60か月以上:5.5

概算の例として、平均標準報酬額が220,000円で加入期間が36か月なら、220,000円 × 3.3 = 726,000円(税引き前)となります。これは計算方法を示す例であり、金額の保証ではありません。実際の金額は日本年金機構が公式の記録にもとづいて算定します。

6. なぜ上限が60か月なのですか

2021年4月施行の改正により、計算の対象となる期間の上限が36か月から**60か月(5年)**に引き上げられました。特定技能などで在留期間が長くなったことに対応したものです。

注意点として、資格喪失が2021年4月より前の場合は、従来どおり36か月が上限です。上限を超える期間は脱退一時金の計算に含まれません。

7. 税金は引かれますか

制度によって異なります。

  • 厚生年金保険:支給額から所得税**20.42%**が源泉徴収されます。したがって、第5問の計算結果より入金額は少なくなります。
  • 国民年金:所得税は源泉徴収されません

8. 20.42%は取り戻せますか

確定申告により還付を受けられる場合があります。ここが最も見落とされやすい部分です。

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 出国前に、日本での最後の住所地を管轄する税務署へ「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出します。納税管理人は、日本に残る友人・同僚・親族などに依頼するのが一般的です。
  2. 脱退一時金の支給後、源泉徴収された税額が記載された通知が届きます。これを納税管理人に送ります。
  3. 納税管理人が「退職所得の選択課税による還付のための申告」を行い、還付金を代わりに受け取ります。

帰国前に納税管理人を選任していないと、手続きは大幅に難しくなります。帰国前に整理すべき住民税については住民税のよくある質問も参考にしてください。

9. 必要な書類は何ですか

日本年金機構の手続きページによると、次のとおりです。

  • 脱退一時金請求書(14言語で用意されています)
  • パスポートの写し:氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ
  • 日本国内に住所を有しなくなったことが確認できる書類
  • 本人名義の銀行口座に関する書類:銀行名、支店名、支店所在地、口座番号、および口座名義人であることの確認(銀行の証明印または証明書)
  • 基礎年金番号が確認できる書類(年金手帳など)
  • 代理人が請求する場合は委任状

口座が有効で、海外からの送金を受け取れる状態かどうかも確認しておきましょう。日本の銀行口座とインドネシアへの送金もあわせてご覧ください。

10. 書類はどこへ提出しますか

日本年金機構へ郵送するか、e-Gov による電子申請で提出します。加入期間に共済組合の期間が含まれる場合、その部分は日本年金機構ではなく各共済組合が取り扱います。

請求は日本国内に住所を有しなくなった後に行うため、必要な書類の写しは出国前にそろえておくことをおすすめします。帰国後に日本の書類を取り寄せるのは負担が大きくなります。

11. 受け取ると、どうなりますか

ここが最も慎重に考えるべき点です。

脱退一時金を受け取ると、請求前の日本の年金加入期間はすべて失われ、元に戻すことはできません。将来ふたたび日本で働く場合、加入期間はゼロから数え直しになります。

次のような場合は、すぐに請求しない選択も検討する価値があります。

  • 近いうちに再来日して働く予定があり、通算の加入期間が10年に届く可能性がある
  • 永住許可(永住)など長期的な在留を検討している

12. 日本の加入期間をインドネシアの年金と通算できますか

加入期間の通算ができるのは、日本と社会保障協定を結んでいる国に限られます。日本年金機構が公表している協定相手国の一覧に、インドネシアは含まれていません

そのため、インドネシア国籍の方の場合、日本での年金加入期間をインドネシアの年金制度と通算することはできず、短期間の就労については脱退一時金が保険料の一部を受け取る唯一の方法になります。年金制度の全体像はインドネシア人のための日本の年金手続きをご覧ください。

帰国前チェックリスト

  • 市区町村で転出届を提出し、記録を残す
  • 厚生年金保険に加入していた場合は、税務署で納税管理人を届け出る
  • パスポート、年金手帳(基礎年金番号)、銀行口座の書類をコピーしておく
  • 銀行口座が有効で、名義がパスポートの表記と一致しているか確認する
  • 日本国内に住所を有しなくなった日を記録し、2年の期限から逆算する

おわりに

脱退一時金は全額返還ではなく、受け取ると日本での年金加入期間をすべて手放すことになります。請求するか見送るかは、2年という期限だけで判断せず、今後の予定と照らし合わせて決めることをおすすめします。

**免責事項:**本記事は2026年8月29日時点で確認した公式情報にもとづく一般的な情報であり、個別の法律・税務・資金に関する助言ではありません。制度や金額は変更される場合があります。ご自身のケースについては、年金事務所、所轄の税務署、または有資格の専門家にご相談ください。

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