「あげる・くれる・もらう」の使い分け完全ガイド

「あげる・くれる・もらう」は似ているようで、間違えると不自然に、ときには失礼にも聞こえてしまう表現です。
この記事で学べること:
- 「あげる・くれる・もらう」を「授受の方向」で整理する考え方
- 「くれる」を使わなければならない場面と、「あげる」が使えない理由
- 上司・先輩・お客様に使う「さしあげる・くださる・いただく」
- 「〜てあげる/〜てくれる/〜てもらう」で行為をやりとりする言い方
- インドネシア人学習者に多い5つの間違いと直し方
なぜこの3語は難しいのでしょうか
インドネシア語では「memberi(あげる)」と「menerima(もらう)」の2語でほぼ足ります。誰があげても動詞は変わりません。しかし日本語は、誰が得をするか、そして物や好意がどちらの方向へ動くかによって動詞を選びます。
内側の円(内=自分・家族・自分の会社)と、外側の円(外=それ以外の人)を思い浮かべてください。この3つの動詞は、物が自分の円から出ていくのか、円の中に入ってくるのか、それとも自分が受け取るのかを示しています。
この「方向」の感覚がつかめれば、あとはパターンを覚えるだけです。
1. あげる — 外へ向かう授受
- あげる(あげる)= memberi(自分または自分側から相手へ渡す)/私は田中さんにおみやげをあげました。= Saya memberi oleh-oleh kepada Tanaka-san.
基本の型は AはBに〜をあげます です。Aが渡す人、Bが受け取る人です。大切なのは、Bが自分自身であってはいけないという点です。
例文:
- 私は妹にペンをあげました。= Saya memberi pulpen kepada adik perempuan saya.
- 山田さんは鈴木さんに本をあげました。= 自分は外から見ているだけの場面です。
「田中さんが私に本をあげました。」は誤りです。受け取る人が自分の場合は「くれる」を使います。
2. くれる — 内へ向かう授受
- くれる(くれる)= memberi kepada saya(相手から自分側へ)/田中さんがおみやげをくれました。= Tanaka-san memberi saya oleh-oleh.
型は Aが(私に)〜をくれます です。渡す人に「が」がつくのは、誰が好意を示してくれたかに焦点があるからです。
例文:
- 部長が私にコーヒーをくれました。= Kepala bagian memberi saya kopi.
- 先輩が弟にお菓子をくれました。= 弟は自分側の人なので「くれる」を使います。
「私に」は文脈から明らかなことが多いため、実際の会話では省略されます。「田中さんがおみやげをくれました。」で十分です。
3. もらう — 受け取る
- もらう(もらう)= menerima/私は田中さんにおみやげをもらいました。= Saya menerima oleh-oleh dari Tanaka-san.
型は AはBに/から〜をもらいます です。Aが受け取る人、Bが出どころです。「に」と「から」はどちらも使えますが、相手が会社・学校・市役所などの組織のときは「から」のほうが自然です。
例文:
- 私は会社から制服をもらいました。= Saya menerima seragam dari perusahaan.
- 妹は友だちにチョコをもらいました。= Adik saya menerima cokelat dari temannya.
「くれる」と「もらう」は同じ出来事を別の視点から述べたものです。
- 田中さんが本をくれました。→ 田中さんの好意に焦点があります。
- 私は田中さんに本をもらいました。→ 受け取った自分に焦点があります。
4. 敬語形:さしあげる・くださる・いただく
職場では、この3語に敬語形があります。
- さしあげる(さしあげる)= memberi secara sopan(謙譲語)/資料をお客様にさしあげます。= Saya memberikan dokumen kepada pelanggan.
- くださる(くださる)= memberi kepada saya(尊敬語)/社長が本をくださいました。= Direktur memberi saya buku.
- いただく(いただく)= menerima(謙譲語)/部長にアドバイスをいただきました。= Saya menerima nasihat dari kepala bagian.
注意点が一つあります。「さしあげる」は「私が恩恵を与える」という響きを持つため、目上の人に直接使うと押しつけがましく聞こえることがあります。「お荷物をお持ちします」のように「お〜します」の形にするほうが安全です。「荷物を持ってさしあげます」は避けましょう。
一方で「いただく」「くださる」は日常的に安心して使える表現です。
5. 〜てあげる/〜てくれる/〜てもらう
やりとりするものが物ではなく行為の場合は、て形に3語を続けます。
- 〜てあげる = melakukan sesuatu untuk orang lain/友だちに日本語を教えてあげました。= Saya mengajari teman saya bahasa Jepang.
- 〜てくれる = orang lain melakukan sesuatu untuk saya/先輩が仕事を手伝ってくれました。= Senpai membantu pekerjaan saya.
- 〜てもらう = menerima bantuan dari orang lain/友だちに写真を撮ってもらいました。= Saya minta teman memotret saya.
依頼をするときは「〜てもらえませんか」が便利です。
- すみません、もう一度説明してもらえませんか。
- より丁寧な形:説明していただけませんか。
6. よくある5つの間違い
間違い1:受け取る人が自分なのに「あげる」を使う。 「田中さんが私に本をあげました。」→ 正しくは「田中さんが私に本をくれました。」
間違い2:家族が自分側であることを忘れる。 「先生が私の子どもにプレゼントをあげました。」→ 正しくは「先生が私の子どもにプレゼントをくれました。」
間違い3:上司に「〜てあげる」を使う。 「部長、コピーしてあげます。」は恩着せがましく響きます。→ 「部長、コピーします。」「お手伝いします。」
間違い4:「もらう」の助詞を間違える。 「私は田中さんをもらいました。」→ 正しくは「私は田中さんに本をもらいました。」
間違い5:自分と関係のない第三者同士に「くれる」を使う。 「山田さんが鈴木さんに本をくれました。」→ 鈴木さんが自分側でなければ「あげました」が正解です。
Yuk Latihan!(練習しましょう)
適切な動詞を入れてください。
1. 母は妹に服を( )ました。
2. 課長がわたしにお土産を( )ました。
3. わたしは会社から作業着を( )ました。
4. すみません、この書類をチェックして( )ませんか。(丁寧に)
5. 先輩が駅まで送って( )ました。
解答: 1. あげ 2. くれ 3. もらい 4. いただけ(または もらえ) 5. くれ
2番を「あげ」と答えた方は、内側へ向かう方向の感覚をもう一度確認しましょう。
Ringkasan(まとめ)
- あげる=自分の円から外へ。受け取る人を自分にすることはできません。
- くれる=外から自分の円の中へ。渡す人は他人、受け取る人は自分や家族です。
- もらう=自分側が受け取る。出どころは「に」または「から」で示します。
- 敬語形はさしあげる(使い方に注意)・くださる・いただく。
- て形+3語で、物ではなく行為のやりとりを表します。
- 職場での依頼は「〜ていただけませんか」が最も安全です。
JLPT N4・N3を目指している方にとって、この文型はほぼ確実に出題される重要項目です。職場でも「くれる」「いただく」を正しく使えると、日本語が一段と自然で丁寧に聞こえます。
Referensi & Sumber
- 文化庁「敬語の指針」(平成19年2月2日 文化審議会答申): https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/sokai/sokai_6/pdf/keigo_tousin.pdf
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